木更津オスプレイは低空飛行訓練が出来ない(5)

国土交通大臣の特別許可は下りない

オスプレイの最低安全高度に注目すれば、航空法を順守する限りオスプレイは南房総の低空飛行訓練空域で低空飛行訓練はできないのだが、抜け道が一つある。航空法第81条(最低安全高度)の但し書きだ。
「但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」

房総低空域飛行訓練場での低空飛行訓練のたびに国土交通大臣の許可をとれば、オスプレイも低空飛行訓練が出来る。
では国土交通大臣の許可基準はどうなっているのか?

  オスプレイの最低安全高度およびそれに関連する問題について、田中紀子木更津市議は福島みずほ議員事務所を通じて国土交通省に質問した。防衛省への質問と同時に行い、回答も同じ12月2日に来た。

質問は?
@ 最低安全高度を定めた航空法施行規則第174条「飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」とは、オスプレイの場合、何メートルでしょうか。
A この許可を出す際の基準を、具体的にお示しください。
(以下略)

この@、Aに対する国土交通省航空局による回答は以下の通りだった。
@について
御指摘の「オスプレイ」に関する「飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」については、防衛省から申請がされておらず、国土交通省からお答えする立場にありません。
Aについて
航空法第81 条ただし書き(最低安全高度以下の飛行)の許可に当たっては、
・石油コンビナート地帯、原子力関係施設、有形重要文化財指定建造物等の上空において当該飛行を行わないこと
・緊急の際に不時着陸を行わざるを得ない場合に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着陸できるものであること
等を確認することになります。

航空局の@に対する答えも興味深い。航空法の規定で当然のことだが、オスプレイについても「飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」は、防衛省から低空飛行申請がだされた時に、防衛省に求めるデータのひとつなのだ。

Aについての回答の中で「緊急の際に不時着陸を行わざるを得ない場合に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着陸できるものであること」を確認すると言っている。「緊急の時に」の中に、施行規則の中に明示されている「飛行中動力装置のみが停止した場合」が含まれるのは当然の話だ。

国土交通省は、防衛省からオスプレイの低空飛行の申請が出れば、低空飛行訓練を行う空域・地域でオスプレイの最低安全高度の提示をを求めることになる。そのときに、防衛省はどんな反応をするのだろう。
「陸自オスプレイの詳細な性能については、装備品の能力が推察されるおそれがあり、また、米国との関係もあることから、お答えすることは差し控えます」などと木で鼻をくくったような返事をすれば、国土交通省は低空飛行を承認しないだろう。
もし、何のデータもなしに低空飛行を認めれば、航空法の規定に反する飛行の安全性について、国土交通省は管理責任を放棄することになる。

「ただし書き(最低安全高度以下の飛行)」の許可が出なければ、少なくとも南房総に陸自が設定している「房総低空域飛行訓練場」で、陸自のオスプレイは低空飛行ができない。(続く)



木更津飛行場運用規則別紙より

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2020-1-10|HOME|